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マンション管理とコミュニティ H24.11.25NPO法人 助っ人会

category : コラム 2012.11.25 

  国土交通省が主宰する「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」において標準管理規約の改定作業が進められているのは御承知の通りである。
マンションの管理方式と専門家の活用、いわゆる第三者管理方式についての論議が主とした議題となっている。第三者管理については、資力も自ら管理してい く能力も無くなったマンションへの専門家の派遣について県、市町村等地方公共団体にもその対応について協力要請する方向で検討が進んでいるようだ。
さて、その検討会の中で出された別の論点の一つに、標準管理規約第27条十号の「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用」についての解釈である。
この規約にある居住者とは、賃借人も含むと解釈した場合、管理費の支払義務が無い占有者も含めた人数がコミュニティ形成の対象となる。管理組合が区分所有者の財産管理団体だとすれば、自治会的な要素を持った出費が許されるのか、微妙な問題が生じる。
更に、標準管理規約27条の本文において管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に「充当する」となっていて、10号で地域コミュニティにも 配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用、したがって、こういうものに出さないといけない、義務的なものであるという誤った理解をされる場合が生 じる。
このような混乱を生じさせる規約については、改正するか削除すべきであるとの議論がなされている。 マンションにおいて、合意形成、災害時の助け合い、高齢者/単身者の見守り、終の棲家の安心生活等どれをとっても良好なコミュニティの形成が必要な事は、誰も否定しない。
しかし、原点に返って考えた場合、普段から使っている「コミュニティ」という言葉の概念が、我々の間で統一された共通の認識であるのか甚だ疑問である。
人がカタカナ文字を使う場面に、2種類の場合があるという。一つは、具体的又は露骨な表現を避ける場合、他の一つは、日本語に適当な訳語が無い場合であ る。「コミュニティ」は、後者の例だと考える。共同体、共同社会、共通、類似性、群落等が辞書に載っているが、どれも訳としてシックリこない。
大抵の人々が考えているマンション・コミュニティの理想的な内容は、「見守り、支え合い、安心安全な生活の場である地域社会」とでも言えるだろろうか。しかし、このような理想郷の実現は、管理規約で定めたから実現できるものではない。
だが、これから喫緊の課題である高齢化社会、高経年マンションの増加といった問題を考えた場合、「理想的なコミュニティ」の必要性は衆目の一致するところである。 学者や弁護士の先生方が法律論争で規約の解釈や不備を指摘されるのは当然のことである。法律や規約も、時代と共に変わるのも致し方ない。
しかし、我々マンション管理に携わる者が、理想のコミュニティの形成に日々努力していくべきことは、如何に法律が変わろうとも、変わらぬ事実である。               ( 松山 )


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