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「電力の固定価格買い取り制度」を考えるH24.8.18NPO法人 助っ人会

category : コラム 2012.8.18 

太陽光や風力といった再生可能エネルギーにより作られた電力の固定価格買い取り制度が、
平成24年7月1日からスタートした。しかしこの制度を少し落ち着いて考えた時、何か一抹の不安と納得できない不公平感を感じるのは、私だけだろうか。この制度が、恒久的なエネルギーの確保と安定供給に繋がっていくのであろうか。

政府は、第一に「エネルギーの自給率の向上」、第二に「経済の活性化」、第三に「地球温暖化防止」を掲げている。この政策で第二に掲げられた「経済の活性化」は、本当に実現されるのか、疑問を抱かざるを得ない。

固定価格買い取り制度とは、電力会社が再生可能エネルギーで生産された電力を、政府の決定した42円/KWHという固定価格で買い上げ、電力消費者にそ の半分以下の約20円/KWHで販売する。電力会社は、当然赤字を抱える。その電力会社の赤字を穴埋めするため電力の消費者である国民一人一人から一定額 の負担金を徴収するという。

原子力発電の廃止や地球温暖化防止のためには再生可能エネルギーへの転換を急がなければならないと言う論点は、誰でも理解できる。それを急ぐあまり経済 原則から逸脱してしまって良いのだろうか。仕入価格より安く販売する経済行為が長続きするわけがない。さらに言えば、太陽光パネル自体の価格下落やパネル メーカーの国際競争の激化により、現状でも供給側の生産コストは下落傾向にある。政府の想像する以上の再生可能エネルギーによる電力生産が進む可能性も有 る。それでも10年間は、42円で買い続けるのだろうか。消費者の負担が増え続けるのは明らかだ。高い電力料金に耐え切れなくなった企業が、今以上に海外 に出て行き国内の空洞化がいよいよ進展する。日本に残ったのは、緑の山河と老人だけということにならないだろうか。

もう一つの問題点は、戸建て住宅の居住者は、諸条件を満足すれば太陽光発電パネルを容易に設置できるが、既存の分譲マンションの居住者は、工事の困難さ からみて現状での設置は難しい。利益を享受できる人々のグループと、ずっと負担を強いられるグループに分かれる。負担を強いられるグループの不満が世の 為、人の為ということで抑えられれば良いのだが。前途多難を感じさせられる。  (松山)


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