「マンションに居住していない区分所有者から協力金を徴収することの問題点」H24.8.10NPO法人 助っ人会
平成22年1月26日に最高裁判所の判決が出されて以後、各地マンション管理組合で 「不在区分所有者から協力金を とっても良いという判例が出た」として安易に協力金をとることを目指す風潮がありますが、この判決は当該マンションに限っての特別な事由によるものであ り、一般のどこのマンションにも無条件で許されるものではないと考える必要があります。
1.そこで、一般のマンションが協力金をとることの可否を考える前に「マンションに居住していない区分所有者」が自己の所有するマンションに住まない理由が何であり、
また、非居住でも組合事情がわかり、役員になれるかについて考察してみます。
購入動機 | 居住したか | 非居住の期間 | 非居住理由 | 組合事情 理解有無 |
自己居住用 (現在家族が 入居中) |
居住し役員した | 今後も居住しない | 入院・介護施設入居 | 有 |
居住した | 〃 〃 | 〃 〃 | 有 | |
〃 | 一時的・将来戻る | 転勤・入院など | 有 | |
居住しなかった | 今後も居住しない | 入院・介護施設入居 | △ | |
自己居住用 (現在他人に 賃貸中) |
居住し役員した | 今後も居住しない | 入院・介護施設入居 | 有 |
居住した | 〃 〃 | 〃 〃 | 有 | |
〃 | 一時的・将来戻る | 転勤・入院など | △ | |
居住しなかった | 今後も居住しない | 入院・介護施設入居 | 無 | |
家族居住用 | 自分も同居した | 一時的・将来戻る | 入院・介護施設入居 | 有 |
〃 | 今後も居住しない | 〃 〃 | 有 | |
同居しなかった | 今後居住する | 転勤・入院など | △ | |
〃 | 今後も居住しない | 入院・介護施設入居 | 無 | |
社 宅 用 | 居住し役員した | 今後も居住しない | 別に自宅所有 | 有 |
〃 | 一時的・将来戻る | 転勤・入院など | 有 | |
居住した | 一時的・将来戻る | 転勤・入院など | 有 | |
居住しなかった | 今後も居住しない | 別に自宅所有 | 無 | |
社員が居住した | 〃 〃 | 〃 〃 | 有 | |
賃貸目的 | 居住しなかった | 今後も居住しない | 別に自宅所有 | 無 |
投資目的 | 居住しなかった | 今後も居住しない | 別に自宅所有 | 無 |
以上の状況からすると、現在マンションに入居していないという事情だけで役員になる資格がないとする管理規約は改正し、不在区分所有者も役員になることにすれば、役員になり手が少ない現状を改善できるようになるといえます。
また、10年に一度(1年か2年)しか役員になる必要が無い一般の管理組合で、不在区分所有者は10年に一度だけの義務を免除して貰うために毎月、毎 年、「協力金」を徴収され、仮に月額2,500円の協力金であっても10年間で30万円徴収されることになる一方、一般区分所有者は10年の内8年間は不 在区分所有者同様、役員の努めをする必要がないにも拘わらず、協力金の支払いを免れるという新たな不公平が生じます。
従ってこの「協力金問題」はいろいろな角度から十分に検討する必要があり、安易に採り入れるべきでないといえます。 (三木) 以上
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